■紙を選ぶ際に重要なことは?
〜ダンボールと一般紙器
物性面は別にしまして、まずどんなイメージの商品なのか、どんなメッセージが必要なのか、その2点を優先的に決めていただく事が重要ですね。例えば、最初に「安い紙」でお願いします、とおっしゃる方もいるんですが、それは違うと思うんです。何をお客様に訴えたいのかが先にあって、それに対して紙を選定していく。もちろん企業ですから、コストを考慮するのは当然です。ただ、商品がどんなメッセージを持っているかが何より優先でしょうね。僕らがご相談を受けに行ったときにも、最初に「どんなメッセージをお持ちですか?または必要ですか?」ということからスタートします。
パッケージデザイナーの方には、用紙の持つ印象面を有効に発信できるようなデザインをしていく事を考えていただきたいです。例えば、分かり辛いかもしれませんが、レザーのような紙に4色の写真を載せるなんてことは、絶対にあり得ないわけです。素材をまったく無視していますから。素材(紙)の持つメッセージを読み取って、より付加価値が増すような、そんなデザインが欲しいんですね
商品の特性を考えて、コスト面での提案が出来るといいでしょうね。例えば、高級ハムの重厚なパッケージを提案する時なんかでも、目に見える部分で、その重厚感を示せばいいわけですよね?ハムの下敷きになるような“受け”の部分に私どもの提供するような紙を使って、コストを掛けても意味がないわけです。そのぶん商品の値段が上がってしまい、売れるものも売れなくなってしまう。パッケージの値段を“どれだけ抑えられるか”に腐心できるデザイナーであって欲しいんです。
なるほど、一部には御社の紙を使って、目立たない部分には汎用品を使ったりする。そういったことが行われているんですね。
その通りです。よく分かっている方は、その辺りをよく知っていますね。ただ、そこまでの知識をお持ちのパッケージデザイナーは、なかなかいらっしゃいません。どうしても作品を作ろうとしちゃう。パッケージデザイナーは、絶対にコスト意識がないと駄目ですし、でもそれだけじゃ面白いものを作れない。その狭間でいかに良いものを作れるかが重要なわけです。
コストとデザインのバランス感覚が必要なんですね。
もちろんそうなんですが、単にコストを下げればいいってもんでもない。紙にコストを掛けても、その効果を有効に活かせればいいわけですから。例えば、100円のチョコレートがあるとします。100円のチョコレートに、良質の紙を使ったってしょうがないと思いがちですが、例えばそのチョコレートの下に薄くて可愛らしい紙を1枚敷くことで、すごく魅力的になったりするんですよ。この程度の紙は大してコストは掛かりませんし、むしろ紙を敷く人件費の方が高かかったりする。敷くか、敷かないかで商品の魅力や訴求力が増すのであれば絶対敷いた方がいいですよね。つまり最終的に売れるわけです。例え、紙を使うことで商品が110円になったとしても、量が出れば100円で売ったときに比べて、利益は大きくなるんです。何か付加価値というか、そういったものを含めてコスト意識を持てるかどうか、これが重要になるでしょうね。
クライアント、紙メーカー、デザイナーという3者で企画がスタートするものなのですか?
クライアントとデザイナーが話し合った上で、紙メーカーに話があるというパターンが多いでしょうが、私どもに最初からお話をいただければ、何らかの意味のあるアドバイスは出来ると思います。実際、1度お付き合いがあったクライアント様は必ずといって良いほど、リピーターとなって最初の段階から参加させていただいています。
最初の問い合わせはどのような感じに来るのですか?
最初は、私どものような紙メーカーに依頼するような企画なのかどうかという迷いがあるようです。紙メーカーを含めるべき企画なのかどうか、そういった相談も多いです。ビジネスに発展するかどうか分からないけど話を聞きたい、みたいな。その話を聞けば、私どもが参加するべき企画なのか、別の業者さまを紹介した方がいいのか、その辺のアドバイスも出来るかと思いますよ。ですので、気軽に「こういった面白い事をやりたいんだけど」と言う感じで、企画段階からお話をいただければ、理想的だと思います。
最初の企画段階で、3者が合意を形成しながら進行できれば、クライアントが求める本来の目的に近づきやすいですし、価値も出てくるのではないでしょうか。特にクライアントが発信したいキーワードが明確であれば、デザインと素材(用紙)が効果的にコラボレーションできると思います。
■御社ではどんな形で情報・サンプルなどを提供していますか?
今の時代ですから、当然Web上で情報を掲載したりはしています。ですが、ホームページなどは、アクセスして頂かないとなりません。そういう意味では、展示会といった日常的な各種見本の配布や新製品発売時のDMの発行はもちろん、各種ハウツーユーズダミー(紙の使用用途の提案など)によるPRも積極的に行っていこうと考えています。
また、私どもが考える情報発信として特徴的なのが、例えば高級感のある印刷用紙に対して、単に「このような印刷ができます」と謳うのではなく、若手の写真家の方々をバックアップするような形で、定期的に写真集を作ったりしていることです。つまり、コンテンツとしては写真集ですが、私どものオリジナルの紙を使用していますので、手にとった方々に素材の魅力が伝わるわけです。今まで、私どもの業界では「紙を売り込む」ということに執着しすぎて失敗してきたと思うんです。写真集でもなんでも、そのコンテンツを活かす、伝える、という視点でやっていかないと駄目だと思います。
ショールームに直接お越しになって頂いても結構ですし、お電話などでお問い合わせ頂けば、その方の住んでいる最寄りの支店や担当店でも対応できますし、全国の販売推進部が直接ご相談に伺ったりもできます。
成功事例といいますか、実際に市場にでたパッケージを常設展示することで、内容の濃い、各クライアントに有効活用された実物製品を手にとって感じることができます。実際に市場で評価された見本ですので大変参考になるかと思います。
〜デザイナーが直接、ご相談に伺ってもよろしいのでしょうか?
ええ、私どもはショールームにスタッフを配備しておりますが、そのほとんどはデザイナーのフォローなんですよ。9割方は、デザイナーの方々が素材を見にきたり、相談にいらっしゃるケースなんです。ただ、いらっしゃったデザイナーの方に私どもから声をおかけすることはあまりしません。デザイナーはショールームの製品見本を見て、構想を練っているわけですから、お声がけは最低限にして、あとはじっくりと紙を見ていただこうと。ある意味、ちょっと不親切かもしれませんが(笑)、気兼ねなく、ゆっくりと素材を確認できるような、そういったショールームにしたいと思っています。

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