印刷・素材について 第1回 〜平和紙業株式会社 取締役 吉原和雄氏 インタビュー〜
第1回は、平和紙業株式会社の吉原取締役のインタビューをお届けします。
お忙しい中、デザイナーやクライアントの方が紙を選ぶ際に考えるべきことを中心にお話を伺うことができました。
御社でお取り扱いの紙の特性について教えていただけますか?
〜ダンボールと一般紙器
「パッケージ用に使われる紙」といった限定は特にありません。実は全ての種類の紙を使っていいんです。これを大きくカテゴリーとして分けると、ダンボールと一般紙器に分けられるかと思います。
ダンボールに関してですが、ダンボールにパッケージデザイナーが関わる事はまず無いと思います。ダンボールは完全に機能面重視ですから。一方の一般紙器に関してですが、こちらはデパートやコンビニの店頭に並んでいるようなあらゆるパッケージを指します。お菓子のパッケージもそうですし、紙袋なんかも一般紙器になります。
さらに一般紙器を掘り下げると、機能面と印象面という切り口が考えられるのではないでしょうか。商品をパッケージする(守る)という意味では強度などの機能面(物性面)は重要です。それともう1つは「印象面の特性」、つまり紙の持っているイメージや質感、オリジナリティといった切り口です。
〜紙にはオンリーワンのメッセージがある
私どもはダンボール関係を一切扱っていませんし、大型の紙器も扱っていません。扱っているのは一般紙器の中でも、印象面での特性を備えているものになります。その分野の用紙を多種類在庫しているわけです。それから、私どもの扱う用紙にはそれぞれ、オンリーワンのメッセージが備わっている。ここがポイントですね。それぞれの用紙にあった売り方があり、魅せ方があり、「単なる紙」という扱い方とは違うと思います。言い方は変かもしれませんが、芸能プロダクションのタレントみたいなものですよ。
紙の種類というのは、人それぞれ様々な分け方が出来ると思いますが、私どもの場合、印象面でいかに多様なイメージを具現化できるかが重要であり、そのイメージのニーズこそが紙の種類ということになります。紙の種類はイメージのニーズで区切る事ができると思うんです。今求められているニーズや期待感としては、「健全性、安心感、ドラマ性、エコロジー性」という4つキーワードにつながってくると思っています。当然、これはパッケージデザインに限らず、全ての商品に言えることだと思いますよ。
〜「健全性、安心感、ドラマ性、エコロジー性」4つのキ-ワードを読み解く
この4つのキーワードをさらに用途や目的によって細かく分けていくんです。健全性なら「清潔感、スポーティ感」、「素朴感、ナチュラル感」。安心感を細分化すると「重厚感、伝統感」、「豪華さ、充足感」、「精度や正確さ」。ドラマ性では「遊び心やロマンティシズム、レトロ感」などに分けられる。そして最後のエコロジー性は、森林保護の観点から、「リサイクル素材、非木材、廃棄物シリアル」といったニーズが見えてきます。確かにデザイン面でもこれらを表現は出来ますが、それでは完璧じゃない。私どもは、これらを表現できる“紙素材”を持っているんです。
例えばゴルフボールのパッケージを考えてみてください。これは重厚というよりスポーティさが欲しいわけです。恐らく、直線的なデザインをモチーフにしながら、白い紙を使って、ツヤも欲しい、となる。デザイナーの方が臨場感を出しながら「飛ぶイメージ」を創っていくわけですが、お客様が手に取ったときに実感できる素材がどうしても欲しい。つまり素材自体がニーズに応えられるだけのメッセージを持っていないとダメなんです。
私どもはニーズありきで紙の開発を行っておりますので、このようなスポーティ感を備えている「紙」を提供できるんです。素材が持つメッセージとデザインが上手く融合して初めて、最高の商品パッケージ(パッケージデザイン)が出来上がると思っています。
確かに時代を読む先見性は重要ですが、1年先を読むと売れないですね。当然、現時点の流行とも違う。半年くらいがちょうど良いでしょうね。企業の商品ですので、先読みしすぎてもダメですし、企画段階から発売までを見通さなければならない。商品発売とともにヒットさせたいという事を考えると、半年先くらいのニーズがちょうどいいわけです。
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